見せかけの回帰のまとめ

概要

・俺様まとめというヘッジ文言
・回帰分析(クロスセクション or 時系列)において発生する見せかけの回帰の対処法の備忘録
・ただ回帰を精緻にやったからといって儲かるかというとそれは別のうわ何をするやめ

見せかけの回帰の種類

1. クロスセクション回帰における見せかけの回帰
2. 時系列回帰における見せかけの回帰
2.1 定常過程の場合
2.2 非定常過程の場合

巷でよく言われるのは、2.2の非定常過程の場合ですが、この記事ではそれ以外のものも含めてまとめておきます。また、後から見返した時に(主に自分が)分からなくならないように参考文献のページも書いておりますので、文献をお持ちの方は適宜ご参照ということで何卒

1. クロスセクション回帰における見せかけの回帰

クロスセクションの回帰でも、本当は影響していないファクター同士の関係が有意に出ることがある。
良くある話としては、子どもの身長と足の速さに正の相関が見られるという類のもの。
言わずもがな、この背後には「年齢」という共通のファクターが存在する。

◆解決策:重回帰(上記の例の場合、年齢も説明変数に加える)を行なう。
これによって、年齢の影響を除外した上での、身長と足の速さに関する回帰係数を求めることができる。
(森崎 P.101)

2. 時系列回帰における見せかけの回帰

2.1 定常過程の場合

$$
y_t = a + b x_t + \epsilon_t
$$
というモデルを考える。上記を(1)式とする。

◆解決策:
(1)\(x \)を自己回帰モデル(AR過程)にぶち込み、定常かどうかを判断。
$$
x_t = \delta_x + \phi_1 x_{t-1} + \phi_2 x_{t-2} + \cdots + \phi_q x_{t-q} + v_{xt}
$$

定常かどうかは、Rではadf.test()で検定することができる(要tseriesパッケージ)。

帰無仮説:非定常過程
対立仮説:定常過程

(2)定常と判断されたら、(1)式のOLSを行ない、推定誤差\( \hat{\epsilon_t} \)を求める。
\( x \)が非定常と判断された場合は2.2に進む。

(3)推定誤差\( \hat{\epsilon_t} \)がiid(自己相関なし)ならば(2)のOLS推定量が最良漸近正規推定量(BAN推定量)となる。
自己相関があるかどうかはBreusch-Godfrey検定(森崎P.189)

ライブラリを読み込み、回帰式を指定してあげればその回帰式の推定誤差に関する自己相関を検定してくれる様子。
帰無仮説:自己相関なし
対立仮説:帰無仮説ではない
p値が大きかったら、系列相関があるとは言えないので、OLS推定量が一致推定量になりますと。
逆にp値が小さく、系列相関があると判断される場合は(4)に進む。

Rを使って計量経済分析 – Akihiko NODA
http://at-noda.com/econwiki/index.php?(URL長いので略)

(4)推定誤差\( \hat{\epsilon_t} \)が自己相関ありの場合、OLS推定量に一致性が得られない。
(5)yも自己回帰モデルにぶちこむ。
$$
y_t = \delta_y + \theta_1 x_{t-1} + \theta_2 x_{t-2} + \cdots + \theta_q x_{t-q} + v_{yt}
$$
ここで(1)と(5)で得られた\( v_{xt} \)と\( v_{yt} \)を用いてOLSを行なう。(森崎P.197から)
$$
v_{yt} = \beta v_{xt} + w_t
$$
このとき、\( \beta \)の推定量\( \hat{\beta} \)は(1)式\( b \)のBAN推定量となる。

2.2 非定常過程の場合

$$
y_t = a + b x_t + \epsilon_t
$$
という回帰において、\( x \)が非定常と判定されているとする。

◆解決策
(1)推定誤差\( \hat{\epsilon_t} \)が定常であるかどうかを検定
Engle-Granger共和文検定(沖本P.129、森崎P.247)
ここでADF検定を用いないことに注意。Engle-Granger検定に用いるインプットがそもそも推定値であるため、通常の単位根検定とは異なる棄却点を用いる必要がある。

\( \hat{\epsilon_t} \)が定常過程となった場合、\( x \)と\( y \)は共和分の関係となるので、この場合は例外的にOLS推定が一致推定量となるのでここで終了。(森崎P.242)

\( \hat{\epsilon_t} \)が非定常過程の場合、見せかけの回帰が発生する。
(1)ラグ変数の導入、または VARモデルによる推定を行なう
(2)\( x \)と\( y \)の階差を取ってOLS(沖本P.128)

メモ

OLSの推定誤差に関して、系列相関を検定したいときはBreusch-Godfrey検定、定常かどうかを検定したいときはEngle-Granger共和文検定となるというところが細かいところ

参考文献

・現代計量経済学: 森崎 初男: 本 – http://www.amazon.co.jp/dp/4904341031
・経済・ファイナンスデータの計量時系列分析 (統計ライブラリー): 沖本 竜義: 本 – http://www.amazon.co.jp/dp/4254127928